日の名残り カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロ遡りシリーズ

いよいよブッカー賞受賞の名作です。

逆読みしているからこそ、この名作は温かい。

しかし、淡々と一人称で重ねてゆく手法は、ここで確立されたのでしょうか。
最後の最後で、泣かされました。

私は、これはラブストーリーだと思いました。

父への尊敬、執事という宿命へのオマージュ。
そして、ミス・ケントンへの愛。

そこに静かにたたずむ品格への固執。

何がいけないというのでしょうか。アメリカ人の館の主へジョークの練習をしようと決意する最後。かわいい。

で、解説を読んで、ものすごい違和感を感じました。
丸谷才一さんは、申し訳ないけれど、お名前しか知りません。
そういう読み方をするのか!と突っ込み体制満々です。
違うでしょう?

だったら「私を離さないで」はできなかったでしょう?

逆読みをしたから、その意見には、断固として反対です。
偉そうに。
男がこんなに哀れ深く泣く小説を私は知らない。
ですか。わかっちゃないなあ。

ミス・ケントンの気持ちに気がつかなかったわけがないじゃないですか。
しかし、それに勝る執事と言う仕事への自負とタイミングってのがあったんですよ。
恋はタイミングです。
だいたい、最初から最後まで、ミス・ケントンありきの旅であり、小説じゃないですか。

その気持ちに触れ、どうして泣かない男がありましょう。
率直で思いの深い、しかしどこか屈曲している、変わらないミス・ケントンだからこそ、彼は心からただひとり、秘めたる愛を温めていたのではないでしょうか。その真情に触れ、しかも今は幸せな彼女に会い、どうして心が揺さぶられないはずがありましょうか。

なんか、とても温かいラブストーリーを読んだ読後感です。

さて、残るは、「遠い山並みの光」
それを読んだら、最新刊と行きましょうか。

って、キングはいつ読むんだよ! というひとり突っ込み。

首の痛み復活。それでもランニングは気持ちよい。走りたいのよ〜〜。
走りながら、治してやる。
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by shes_inn | 2010-04-14 22:25 |