好奇心の発露


by shes_inn
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

見知らぬ場所 ジュンパ・ラヒリ

読了。

3編目は、「今夜の泊まり」ちょっと倦怠期な夫婦が夫の心に根ざす女性の結婚式へとやってくる。なんだか不思議なシチュエーション。
4編目が「よいところだけ」。なんとも苦しい作品だ。
姉と弟が描かれる。同じ家に育ちながら、どこをどう掛け違えるとこうなってしまうのか。そんなことを考えさせられる一遍だ。
家族のふとしたときにできる溝。亀裂が苦しい。掛け違いが亀裂に向かうそんな、ちょっとしたほころびは、本当にどこにでもあり、恐ろしい。
5編目は「関係ないこと」。だらしない女たらしに入れ込むサングに惹かれるまじめ一方のポール。男女のことに首を突っ込むのは危険だ。それでも、ついつい首を突っ込み、言わなくてもいいことを言い、結局傷を負うのは自分。やるせないねえ。ポール、きらいじゃないけど、もてないなあ。

さて、この本のメインだ。最後は、3編の連作で構成される「ヘーマとカウシク」。
最初は、ヘーマの手紙の形を取った子ども時代を切り取ったお話「一生に一度」。次がカウシクの手紙の形を取った「年の暮れ」。ヘーマら家族との暮らしを経たあとの、後日談にして苦しくも悲しい母との日々を回想し、家族を無くすまでを描く。
最後が「陸地へ」。これは、もう、過酷な運命を描いて、最後の最後は背筋が寒くなる。ゾクゾクと震えが来るような最後だ。人と死に別れる悲しみ、自分のなかの自分との別れ、そして、新しい生命と新しい家族と、出会いから始まる、あきらめに似た心の遊離。
いやー、そっちヘ行くのか、ジュンパ・ラヒリ。
[PR]
by shes_inn | 2008-09-30 23:12 |