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好奇心の発露


by shes_inn
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ラスト、コーション

トニー・レオンが大好きなので。
見に行きました。TOHOシネマズ川崎、プレミアだったので(通常料金)椅子がゆったりと見られました。
あんまり前情報を得ずに行きましたけど、そのシーンがすごいというのは聞いていました。
映画のタイトルが「色情、警告」ですからねえ。

だから、スパイメロドラマと見る向きが多いのはよくわかります。
それ以上ではないという意見もあるのでしょう。

私の感想ですが、素晴らしい映像美。それと、当時の社会やそういう階級の女性の立ち位置とか、なぜあんなに麻雀するのかとか・・。
学生たちが憤怒を覚え、純粋さのまま突っ走ってゆく過程。社会の中で鈍感な大人ではなく敏感にして純粋で、しかし幼く考えが浅い若者たちの悲哀。

そんななかで一番肝が据わり、それがゆえに演技がスパイという行いに結びつく。
女を演じる彼女が、しかし、標的とすべてをかなぐり捨てて情事に溺れるとき、果たしてそこには演技は存在しなくなってしまう。

あのね、そりゃあ、あんま大きな声では言ったことはありませんが、私も人間にとっての「性」というのは、大きな大きな不思議なんですね。謎というか。

そこが、極限の間柄にあって、強烈に、ここがあいまいだと二人の関係性あいまいになってしまうからの、徹底的な「lust,caution」。

しかし、トニー・レオンはやっぱすごい。孤独な男娼婦たる仕事を鬼のような意思で行い、黒く深い穴の中の日常を生きている。

もちろん、主演のタン・ウェイは、幼さのある素顔と妖艶な夫人とスパイを演じるときと、そのときとすべてが直球演技で、よくやっている。

最後、その結末は。

アン・リー監督は、日本統治下の中国という背景を使い、やはり人間の根源たる「不思議」を描いているのではないかと、そう思う。それは、愛を描くこととも言えるのかな。

「ブロークバック・マウンテン」食わず嫌いで見ていないが、見たくなっている。
by shes_inn | 2008-02-17 21:52 | 映画